強みを活かして新領域のビジネスをつくりたい
はじめに事業内容と、抱えていた課題について教えてください。
事業環境の変化に対応できるような、ニーズを起点とした新領域の事業開発を進めなければならないという強い危機意識がありました。
私たちの主力製品である「通貨処理機」は、国内外でシェアNo.1の実績があります。銀行をはじめ、スーパーマーケット、駅、レストラン、病院、レジャー施設までさまざまな場所で活躍し、お金の流れを支え続けてきました。これまでは国内はじめ、グローバル市場にも進出し、明確なニーズに対して、お客様の声を具現化することで成長を遂げてきました。一方で裏を返せば、事業活動の主体は現行製品のモデルチェンジやバージョンアップに留まっており、自ら社会課題に着目して新たな事業を生み出す活動は部分的でした。
そのような問題意識を背景に、「2020中期経営計画」では、新領域の事業テーマ創造とオープンイノベーション実現のための組織風土改革に取り組んでいました。
そこで、私たちは国内事業本部の取り組みとして、グローリーの強みである "リアル世界で見分ける技術や製品" を活用した新しいビジネスを、Wemakeを通じた共創に取り組むことにしました。
Wemakeをご利用される決め手は何でしたか。
いくつかサービスを比較した上で、選んだ理由は3つあります。
まずひとつは、我々と同じBtoB製造業の取り組み実績があり、これまで接点のない領域における職場のニーズを拾い上げることができるのではないかということです。BtoB事業において個々の現場の潜在ニーズを拾うことはなかなか難しいので、2万人を超える多種多様なユーザーから、ご自身の所属する業界や職場のリアルな声やそれに基づくアイデアを募れるのは魅力的でした。自社単独での新規事業開発では、技術を起点にしたプロダクトアウトの発想に偏ってしまいがちで、そこに課題意識を持っていたため、ニーズ起点で事業コンセプトを創り出すことも重要でした。
2つ目に、Wemakeユーザーから提案される企画の質の高さが決め手になりました。他のオープンイノベーションサービスと比較しても、Wemakeで集めることができる企画は、そのまま社内の商品企画会議に提出できるような質という点が大きな魅力です。この点においては、コンサルティングファームでご依頼する場合と比較して、費用の観点で大きくリーズナブルでもありました。
さらに3つ目の理由として、登録ユーザーの活動が活発である点です。他社のプロジェクトの実績、ユーザーさんの提案や活動の様子を見ることができて、実際に幅広い業種・職種の方が登録し活躍されていることがわかりました。
“セキュリティや業務効率”ではない提供価値の提案が新鮮だった
実際にWemakeを使ってみていかがでしたか。
公募フェーズでは、社内で検討している切り口と同じ切り口でアイデアを募集しました。ところが、同じ切り口でも社内で頻出するアプローチとは違う提案が集まって面白かったです。
我々は「見分ける」「仕分ける」という技術を“セキュリティや業務効率”の観点で捉えて事業にしていますが、Wemakeのユーザーさんからの提案はそこではなく、“サービスや製品の付加価値を高める”という観点の提案も多く、新しい視点が得られました。最終的には、介護のヒューマンエラー、病院受付、物流などのニーズに対する提案を採択しました。これまで自社でも着目してきた領域も含まれるのですが、現場のリアルなニーズに立脚した、具体的な事業企画を得ることができたのが収穫と考えています。
Wemakeをどんな企業におすすめしたいですか。
生活者や他業種の視点でのニーズを拾いたいけれど拾えていないBtoB企業や、社外との共創を体感したい企業に役に立つのではないかと思います。商品企画部門の人数が少ないが、プロジェクトのリーダーやメンターに熱量がある社員がいる企業にぜひ使ってみていただきたいです。
また、オープンイノベーションの手法理解など人材育成においても活用できると思います。社内でアイデア出しするより幅広いアイデアが集まりました。社内アンケートでもほとんどの社員が「また機会があったら参加したい」と回答しているので、社内で活用したいテーマが見つかった際には、また利用したいと思います。
(2020年10月プロジェクト終了当時の所属部署の表記になっています)