2015/11/24(火)

社内外の垣根を超えたコラボレーションで商品企画に革新を起こしたい

2015年11月24日、コクヨ株式会社はオープンイノベーションをテーマに、共創によって製品開発を行う、新しいものづくりのプロセスに歩を進めます。
社内で構想を温めていたコクヨの小林彰吾氏と川本英樹氏に、これまでのものづくりの道程と今回のプロジェクトに至った経緯をお話いただきました。いかにもコクヨらしい、誠実で丁寧、ユーザーのために徹底して質を追い求める姿勢が印象的でした。

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小林
はじめまして、コクヨの小林です。私はステーショナリー事業本部のクリエイティブ戦略部商品企画革新グループというところに所属しており、ここではその名の通り「商品企画」を革新することを目的として、様々な施策を実施してきました。

川本
はじめまして、川本です。私自身は商品企画・開発に手ずから携わることはほとんどありませんが、新規事業の立ち上げや提案営業を経験しているので、特にBtoBビジネスについては、知見とアイデアを織り交ぜながら取組みを構築してきました。

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-- お二人がこれまで関わってこられた商品や、こだわり、苦労したことはどのようなところなのでしょうか。

小林
商品企画・開発を行っていく上で最もこだわっている点は「際まで考えぬくこと」です。開発者視点ではどうしてもできること・できないことという技術的な線を先に引いてしまうことがあります。そうではなく、まず「ユーザー視点でどうあって欲しいか」の理想を考えたうえで、それをどうすれば実現できるのかということを徹底的に考えぬきます。そうすることで、細部にまでこだわった価値のある商品が生まれると思っております。

例えば、私が企画開発をしたレッドテックという商品があります。
瞬間接着剤に対する不満点を調査したところ、約半数の方から塗った箇所や量が分からないという声があり、結果として接着剤を塗りすぎてしまったり、接着剤が手に付いてしまうというトラブルを招いていることが分かりました。

そこで、接着剤に色を付け、塗った箇所や塗った量が一目で分かりやすくし、塗った後は時間が経つと透明になる瞬間接着剤の開発を目指しました。 色を出して消すことができる技術を徹底的に洗い出し、様々な処方をトライすること約2年。フォトクロミック材料という光を用いて色を出して消すことができる材料により実現ができました。

また、液の開発だけに満足せずに、ユーザーが使うシーンにおいて最も使いやすいものにすべく、ノズルの先は「ななめカットノズル」といって、細かい点塗布から広い面への塗布を可能にしました。また適量を搾り出しやすくするために、最後まできちんと出し切ることができる機構を加えたプッシュボタン、次に使うときに固まらないようにコルク栓のようなキャッピング機構など、徹底的にこだわりぬき、発売をしました。

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川本
私はマネジメントの話になりますが、企画開発担当者に活躍の場を提供し、能力をフルに発揮できるようにすることが私のこだわりです。どんなメーカーでも、進取の気鋭に満ち、アイデア豊富な企画マンというのは少なからず存在するものです。彼らが100%能力を発揮できる環境を作れるかどうかが、メーカーのパフォーマンスを決定します。短期の財務や部門の目標などを考えると判断しづらい案件でも、長期的に見て イノベーションの萌芽を感じられる なら、リスクをとって決断するのが、マネジメントの仕事です。

コクヨ(当時はコクヨS&T)では2007年から防災事業を展開していますが、事業スタートと同時に「エレベーター用防災キャビネット」という製品を発売しました。従来の文具の領域からすると畑違いであったこの企画は、開発部門から拒絶されました。そこで、私は事業推進プロジェクトの立場でこの企画を引き受け、イレギュラーな体制で開発を進めることを決めました。

この製品は在庫リスクも大きく、役員会でも再三NGを出されましたが、お客様や販社に対するヒアリングを重ねた結果として、この商品は受け入れられる、この先の防災事業にとって必要な商品となる、という確信を持っていたので、4度の役員会で提案を続け、ついに商品化の決裁を得ました。今では、この商品はコクヨの防災事業にとって欠かせない重要商材になっています。

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-- どこまでユーザーのために、社会のために粘れるかということが、他社と一線を画すことに繋がっている印象を受けます。逆にお二人のなかでの問題意識はどのようなことなのでしょうか。

小林
社内の限られたメンバー、限られた時間では目の届かない死角もあり、少し限界を感じているところもあります。
そこで皆さんのような社外のデザイナーさん、エンジニアさんと共に、商品を生活者目線で共に創りあげるというかたちでのオープンイノベーションが、次の大きな革新を生む起爆剤になるのではないかと考えています。
「共創」で最も大事だと思うのが、双方向のディスカッションだと考えています。一方通行ではなく、創り上げていくイメージです。

社外のデザイナー・エンジニアさんには我々のパートナーとして、コクヨ視点ではなかなか出てこないような枠を超えたアイデアを期待し、それを社内のデザイナーとブラッシュアップしていくことで、我々もプロのステーショナリーメーカーの企画開発者としての知見を活かして、もっともっと良いものに仕上げていく。そのやりとりがまさに「共創」だと思っております。
コンセプトを提案して、それをコクヨが評価して、はい終了ということでなく、商品やそれを手に取るお客様のユーザー体験を、社外パートナーの皆さんと最後まで一緒に創り上げていくことが最も重要だと考えています。

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-- 最後にこのプロジェクトにかける意気込みをお願いします。

川本
このプロジェクトを通して、2つのことを実現したいと考えています。
①大きなイノベーションを生み出す商品を出して、世の中の役に立つこと
②この取組みを通してオープンイノベーションを活用したコクヨらしいコンセプト創出手法を確立すること

コンセプトを出して終わりという一方通行ではなく、社内・社外のデザイナー・エンジニア同士の双方向のブラッシュアップを通して、より良いものに仕上げていくプロセス、そこに独自性などが生まれてくることを期待しています。それがコクヨらしい仕組み化の一つになっていけばと考えています。

コクヨ
コクヨには「商品を通じて世の中の役に立つ」という、創業以来変わらぬ企業理念があり、創業の精神を「カスの商売」といいます。面倒で厄介な“カスのような仕事”でも、世の中の役に立つと信じてその価値を極めれば、必ずや商売になるという創業者の商いの精神です。この精神を大事にして、みんなが当たり前に思うこと、些細なことにも目を向け徹底的に世の中の役に立つために価値を生み出そうとしています。全社員がこの精神で、徹底的に価値を磨きあげるそんなポリシーでものづくりをしている会社です。