ペンで書いた点とデジタル情報を繋ぐ技術(mIDoT)の<br>活用アイデア

2017/12/26(火)
説明会の資料やQ&Aを共有します!

12/22にNECプロジェクトのキックオフ説明会を行いました! 年末の忙しい時期にも関わらず約30名の方にお越しいただき、機器を使ったデモを見たり、NEC社員にぶつけながら活発な議論が行われました。この説明会で使用したスライドを公開しますので、ご参考ください。また最後に説明会後のQ&Aも載せていますので、こちらもご参考ください!

ProjectActivityImage NECは、海底から宇宙まで幅広く社会インフラを支えているICTを提供しています。今回のmIDoTも社会のインフラを支える大きな影響のある事業に育てていきたいと考えていますProjectActivityImage 今回事業イノベーション事業部のメンバーが集まって、募集をしています。事業イノベーション事業部とは、既存の事業とは異なり、新規に事業を生み出したり、既存事業に対し、事業を生み出す基盤、人材の育成を担当しています。今回NEC内の中央研究所で開発されたmIDoTの技術をいかに事業化するか、を皆さんと一緒に考えたいと思っています!ProjectActivityImage 賞金総額は200万円!入賞コンセプトは来年4月から2年以内の事業化を見据えて取り組んでいきます。 ProjectActivityImage NECはもともと技術の会社です。技術を開発し、何かに使えないかと考えるのが今まで事業を考える中心でした。それだけだと世の中により良いものを提供できないと考え、事業イノベーション戦略本部では、技術視点に加え、社会や顧客の課題を捉えて事業開発を行っています。ですが、社内の人間だと固定観念に囚われてしまいがちなので、皆さんに取り払っていただき、新しい斬新なアイデアを期待したいと思っています! ProjectActivityImage mIDoTは非常にシンプルな技術です。ペンで点を打つと、テキストや音声、動画などのデジタル情報を繋げることができます。例えば、小型の識別タグになる、ペンでその場で発行できるバーコード、一時的な鍵になる、点はコピーできないので、唯一無二であることの証明書になる。他の人には読み取れない秘密の情報になる、使えそうという場面は多いが、実際に利用場面を考えた時に、わざわざmIDoTを使う必然性が少ないことも多くあります。 ProjectActivityImage mIDoTとは、ペンで書いた「点」を1つ1つ識別することで、「点」にデジタル情報を紐づけることができる技術です。つまり点1つ1つにに背番号を与えて、その背番号に対応する情報をクラウド側で持たせています。ペンは何でもいいと言っているが、理想的にはラメが入ったペンを考えています。スマホやカメラを使って識別する、と言っていますが、これは実現形態の1つであって、ペン型のカメラや工場の製造ラインで読み取るとか、実現形態は様々あると思います。点を識別でき、それに情報を紐づけることができる、という事がmIDoTになります。 ProjectActivityImage 動作の原理は、ペンで1mmの点を打つと人間の目には同じように見えますが、拡大すると唯一無二のパターンがあります。ラメのペンだとラメの散らばりがランダムになることに着目し、これが1つ1つ違うことを判別しています。ランダムの点だとみるべきポイントがたくさんありますが、わかりやすい点をものだけを抽出して、照合するアルゴリズムを開発し、これがmIDoTの技術になります。 ProjectActivityImage mIDoTの認証手順、登録から照合までのプロセスは以下の通りです。 ProjectActivityImage ProjectActivityImage ProjectActivityImage ProjectActivityImage ProjectActivityImage ProjectActivityImage 最初の開発目的は、物の識別タグでした。物をデジタル情報と紐づけてシステム上で管理しようとすると、今まではバーコード等が必要になっていました。その場合、印刷が必要になったり、小さいものにバーコードが付けられないという問題点があります。一方で、mIDoTにするとペンと画像を溜め込むサーバー代くらいで、ランニングコストが安くなり、小さなものに付けられるという利点があります。 ProjectActivityImage 他の使用用途として、左上では色紙に画像、映像などリッチな情報を付けられる、などがあります。渡すものだけでなく、自分のメモや日記にそのような情報を付けられます。また右上の例ではペンとカメラのみなので、イベントの入場口で時計にペンで印をつけ入場証にできます。またラメのペンだと乾くとジェルになるため、不要になった場合はすぐに消すこともできます。左下の例は、バーコードやQRコードはそのコードに情報が入っているので、誰でも読めてしまいますが、mIDoTで付けた点はスタッフにしか読めないので、子供の名札に点を付けて個人情報と紐づけておいて、迷子のお子様を保護できるようなアイデアとなります。最後の右下の例は、ドア側に点を読み取るカメラを用意し、事前に登録しておくことで鍵の受け渡し、回収が不要となります。 ProjectActivityImage ProjectActivityImage ProjectActivityImage 注意すべき点とメリットを整理すると、上記のようなイメージになります。 補足で説明しますと、「点自体に情報は埋め込まれない」のメリットで、「後から情報を変更できる」と記載していますが、紐づいた情報はサーバー上にあるので、変更、編集、削除することが可能です。また「同じ点は作れない」の「価値と交換できる」ですが、例えば小切手に点を打って、この点を持っている方とは10万円と交換しますよ、という約束をして発行することで、複製できないために金銭的だったり価値あるものとして扱うことができます。 ProjectActivityImage 全てを両立させることが難しく、あるデメリットが他のメリットを消してしまうことになりますため、特徴を動かす(変える)必要があります。例えば、点を大きくしたらどうなるか?を考えたいと思います。 ProjectActivityImage スマホで撮影することができるようになり、慣れが不要になったり、専用デバイスが不要となります。一方で、電子部品等には印をつけることはできなくなります。つまり特徴を動かす(変える)ことで、特定のシーンで活用できるものになると考えています。 ProjectActivityImage 他の特徴を動かす(変える)例ですと、ペン、カメラを使うのではなく、専用デバイスを作り、自動で印字、自動で撮影がができるようになれば、大量の点を一括で照合することができるので、撮影の慣れや大量生産が可能となります。 ProjectActivityImage 大事なのは、「実現方法」と「競争優位性」です。どんなモノを使い、サービスとして利用者はどのような体験をするのかしっかりイメージできる形まで落とし込んでいただきたいです。また様々なデメリットをあげてきましたが、その制約を回避しているものか、全部回避する必要はなく、利用シーンにおける制約を回避できているか、になります。またmIDoTの活用を考えていくと、バーコードやQRコードとの比較になります。こういった既存の解決策と比べて、なぜmIDoTを選んでもらえるのかをしっかりと考えていただきたいと思います。 ProjectActivityImage 特に、実現方法として、解決する課題とユーザーにかかる手間が釣り合っていることが重要になります。拡大鏡カメラで点を撮ろうとすると大変ですが、課題がものすごく大きければ、多少手間がかかっても使うと思います。あったらいいなぐらいだと、簡便に使えないと使われません。 ProjectActivityImage ProjectActivityImage ProjectActivityImage 例として、スマホとbluetoothで接続するカメラ付きペンデバイスを作ったとします。これを使って、本や文章の行間に自分のメモを残したい(サイトのURLや自身の声、など)と考え、このデバイスで点を打ち、読み取ろうとした場合、メモを取りたいというニーズに対し、このやり方だと非常に手間が多いと考えています。簡便に撮って、情報を紐づけられれば、メモしたいというニーズに対しても使えるソリューションになると思います。逆にものすごく重要な業務、一歩間違えると人命にかかわるものであれば、簡便でない、ある程度の手順を踏んでも問題ないと思いますので、そのバランスが非常に大事になります。 ProjectActivityImage ProjectActivityImage ProjectActivityImage

Q&A

Q:使われ方次第で、QRコードと同じような機能となってもいいですか?例えば、本の隅にいきなりQRコードがあると変だが、点であれば気にならない。小説で風景が映像化される点があったり、技術書にレベルに合わせた付加情報を載せたりするアイデアはどうですか? A:ありだと思います。
Q:1mmの点と言っていたが、最大どのくらい大きい点を読み込めますか? A:大きさというよりは、点の中の模様を読み取っています。VGAでドットの画像が得られ、大きい点の中にランダムで粒子を配置できれば問題ありません。
Q:先程のペンとカメラが一体になったデバイスがあったが、このようなデバイスをNECで作ることも可能なのか? A:作ることも可能ですし、外部のベンダーと組んだり、調達してくることも可能ですので、その前提でアイデアを考えていただければと思います。
Q:読み取るときの識別率はどれくらいか?点が2割欠けた時など、識別できますか? A:チューニング次第です。より厳しく閾値を上げれば、完全に一致していないと識別できません。一方で、閾値を低くすることも可能です。製品化に向けて、欠けた場合でも情報を補うことも検討していますので、欠けた場合でも問題ないという前提で考えていただいても大丈夫です。
Q:ペンで強く塗りつぶした場合でも読み取れますか?(模様が壊れないか?) A:読み取れます。模様ができるかが大事ですので、強く塗りつぶした場合でも紙の凹凸で模様ができますので、読み取ることができます。
Q:繊維や和紙のような書いた時と、時間が経ち滲んでしまった場合などで模様が変わる場合は読み取れますか? A:変化するものは、固着して固まった状態で撮らないと識別できません。
Q:繊維のものだと、伸び縮みしますが、それは読み取れますか? A:形が変わってしまうものは、同一と識別できない可能性があるので、向いていないです。
Q:点でなくても傷でも識別できますか? A:点でなくても識別可能です。傷やマークなど目印に、形を識別することはmIDoTの技術の範疇で識別可能です。
Q:ビジネスとして考えた場合に、アプリなどの利用料などを想定していますか?またQRコードなどは利用料があるのか? A:色々あると思っています。アプリの月額利用料もあると思いますし、技術のライセンスとしてメーカーから使用料をいただく、NECが何かサービスを展開することもあると思います。またQRコードはフリーで、最初は読み取るバーコードリーダーを作って売上を作ろうとしていたようなのですが、携帯で撮影できるようになり、リーダーが思うように売れなくなってしまったようです。
Q:色を使っても問題ないですか? A:問題ありません。今ところ色で識別することはできませんが、今後まずは色で分別して、点同士を比べる使い方はあると思っています。
Q:暗くて認識できないことはありますか? A:あります。拡大鏡カメラにLEDライトが付いているように明るさを一定にすることが大事です。スマホ撮影の場合でもなるべく明るい場所での撮影が必要になりますが、そんなに気を配っていただく必要はありません。模様が正確に識別できる環境であれば問題ありません。
Q:点が劣化しない、という前提にたったアイデアはありですか? A:点はあくまで現状存在するインクになりますので、どんなインクを使うかによります。 耐久性に優れた顔料インクを使う、シールで保護する、などなるべく劣化を防ぐような想定とセットで考えていただければと思います。
Q:画像が流出してしまうと、証明に使えないですよね?また連続した文字全体を取って、識別することは可能ですか? A:画像が流出してしまうと認証で使えません。また例えば文字、Aという字を2つ書いて、違いがでれば、識別することが可能です。mIDoTの技術は、物体指紋という技術がベースになっているので、あらゆるものを拡大し、違いがでれば識別が可能です。mIDoTの活用価値は位置合わせを解消をするために、点を打って目印にすることがあるので、文字も対象としては活用があり得ます。
Q:アイデアを3つ出してもいいか? A:問題ありません。各コンセプトごとに議論できるようにしたいので、3つあれば、お手数ですが1つ1つ案をアップしていただければと思います。
Q:照合の仕方は打った点を撮ったものでしかできないのですか?登録されている情報から点を探したりすることはできますか? A:点の中から特徴的な部分を抽出して、別の信号に置き換えているので、画像を捨ててしまっても特徴が抽出できれば可能です。また登録されている情報から、点を探すことはできません。
Q:複数の点にそれぞれ情報を埋め込みんでおいて複数の点を撮影すると、複数の情報が読み込めるのでしょうか? A:それはできません。
Q:大きな点は他社の技術であれば、読み取れるのでしょうか? A:画像として読み取れるのは他社でも可能ですが、1つ1つ合っているか、違うか識別する技術はNECのオリジナルの技術です。